空き家から学ぶ地域拠点への再生 多機能多拠点施設「せんつく学」

改修前

東京都足立区千住地域における築50年の10年間空き家となっていた住居の地域拠点への改修であり、飲食店及び学習塾、多目的室、図書スペースから構成される複合施設である。「せんつく」と同様に設計事務所による出資・設計・運営で進められた。通常の店舗としての営業活動を進めながら、地域の社会課題解決やコミュニティー支援を実施する計画である。具体的には、無料食堂の運営、及び、十分な食事が望めない方への食事の提供、家庭に課題を抱える子どもたちを対象にした学習塾、住民が利用可能なチャレンジショップスペース、図書スペースの運営である。


Photographs | © Ookura Hideki / Kurome Photo Studio

約50年前に建設された住宅であり、耐震性能や耐火性能が不十分であったため、店舗用途への用途変更に関わる工事に加えて、耐震改修や耐火性能を含む建築物の性能向上を中心に改修を実施した。まず、既存建築物の内外装を全て解体し、木造躯体のみの状態にした上で、耐震性能を確保する構造用合板や筋交いを配置した。また、3面接道という特殊な敷地条件を活かし、アルミサッシを建築物の3面に確保し、外構に向けた開放的な内部空間とし、内外の透過性を高めた。結果として現れた建築物は、新たに挿入された筋交いが林立するインテリアの空間と、筋交いが建築物の表層に現れる外観となった。

■建築概要
敷  地:東京都足立区千住宮元
設計期間:2021年12月~2022年6月
工  期:2022年7月~2022年10月
従前用途:店舗付き住居
改修用途:店舗・事務所
構造規模:木造 地上2階
延床面積:69.56㎡
設  計:ARCO architects
運  営:ARCO architects