連なる屋根「土浦の内科クリニック」

土浦の診療所

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茨城県土浦市に建つ内科クリニックです。長閑な田園風景に面し、春には桜川の河川敷に桜並木が咲きます。
病院建築は、合理性を追求する建築計画学の最たる用途であり、一見建築家の介入する余地はないように感じます。

敷地特有の環境条件や自然と呼応することで、病院建築特有の堅苦しさをなくすという問題意識からこのプロジェクトは始まりました。 凹凸形状の独特の平面計画は、施主からの要望を叶えつつ、この敷地の環境(眺望や採光、通風など)を丁寧に読み解くことで提示されました。

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大きく4つのボリュームからなるこの建築は、ボリュームごとに異なる屋根を架けています。西から順に、隣地への片流れ・切妻・田んぼ側へ二段階の片流れ・正面側への片流れとなります。無作為に選択されたようなこの屋根は、内部空間のシークエンス・眺望への開放・中庭や各部屋への採光などを手掛かりに決定されています。平面形状・屋根形状を自然環境との関係で決めていくことで、ここにしかない建築を実現しました。

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1日の太陽の動きや年間を通しての自然の移ろいによって、建築の表情を変える集落のような佇まいで、この地で長く愛さ続ける建築となることを願っています。

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院長より嬉しい知らせを頂きました。「子どもの泣かないクリニック」としてこの地域で評判になっているとのこと。

■建築概要
敷  地:茨城県土浦市
設計期間:2012年6月~2012年10月
工  期:2012年10月~2013年3月
構造規模:木造 地上1階
敷地面積:998.9㎡
建築面積:198.9㎡
延床面積:198.9㎡
構造設計:金田泰裕